日本の黒茶1-碁石茶

一昨年から碁石茶ブームらしい。テレビの影響で、生産が追いつかないという話しも聞く。当然だろう、いまでは作り手がほとんどいない幻のお茶なのだから。高知県長岡郡大豊町東梶ケ内というところで作られている。
碁石茶についての薀蓄は、こことかここがくわしので、今回はあまり触れない。しかし、お茶の世界の中にあっては、ものすごく特殊な、中国之辺境やミャンマーあるいはタイとかそっち方面のお茶に通じるものがあるというおもしろいものなのだ。
カメラマンの堀江先生に教えてもらったことがあるが、雲南省の布郎(プーラン)族に「酸茶」というのがあるそうだ。先生の写真集の中にも、散茶を口にする女性の写真がある。散茶はカビをつけて竹筒に入れて土に埋め、嫌気性発酵を促進させる。これは碁石茶に繋がる製造法なので、碁石茶のルーツは、東南アジアだろうと言われている。
プーアールも熟茶は菌の作用で後発酵させると言われているが、この碁石茶はプーアールの菌とは全く異なる乳酸菌の作用で後発酵させるのだ。これはもう茶というより「漬物」といったほうが良いかもしれない。
実際に飲むと分かるのだが、すっぱくてまずい。(笑)なんといっても作り方が漬物なのだ。すっぱくてもしょうがない。

堀江先生の写真に登場する布郎族の女性は、散茶を食べている。碁石茶も、もしかしたら湯につけてふやかしたら、茶葉を漬物替わりに食べるんだろ!などと思いたくなるほどだ。つまり、このお茶は飲む漬物といった味わいなのだ。
普段、これだけで飲むというのは、かなりつらい。「うーん、まずい!もう一杯」といってもう一杯飲む勇気は僕にはない。そんなに簡単に飲めるほど、やわな飲み物ではない。しいて味わいをなにかに喩えると、都昆布を湯に溶かすとこんな感じだろうか。
これはやはり茶粥に少量炒れて炊くのがもっとも耐え得る食べ方ではないかと思う。同じ四国の石槌黒茶も茶粥にする。日本の文化には、茶漬けとか茶粥というのがあるので、そのために発展したのが日本の黒茶なのではないだろうか。だから所詮飲むのにはなれていないと相当むりがある。
こんなお茶でも、なくなってしまうのは非常に寂しい。壊滅寸前の伝統茶というのは日本にもいくつかあり、碁石茶もその一つになるはずだった。
テレビの影響は恐ろしいもので、この壊滅的な碁石茶を救済するに足るインパクトを世間に与えたようだ。コピーは、「みるみる痩せる!ダイエットから血圧まで碁石茶で決まり!」
しかし、「ダイエット食」としての碁石茶の先行きは、そんなに明るいものではないだろう。別に効果のあるものが出現すれば、「花粉症に凍頂烏龍」と同じように、忘れ去られてしまう。
そうなった後の碁石茶の行方が、なによりも心配である。


Comments
碁石茶って、そんなにすっぱかったでしたっけ?
確かに漬物味のお茶だ~と思った記憶はあります。
が、無心庵さん(だったかしら・・・?)に一度だけ飲ませていただいたものは、あっさりしていて美味しかったと思います。
阿波番茶も似たような味ですが、そういえば、Iさんも漬物味で苦手だと言ってましたっけ^^; 苦手な人は多いみたいですね。
Posted by: ChatNoir | 2004.05.26 at 16:43
製茶してから数年置いてあるいわゆる陳年の碁石茶はそれほど酸味はありませんが、作り立てのものの酸味はかなり強いですね。
我が家にはなぜか、数年立ったものがいくつかありますが、画像のものは昨年のもの。昨年のものは、本当にすっぱかったです・・・。(^^ゞ
Posted by: ひらた | 2004.05.26 at 18:02
碁石茶について書いてみました。
ちなみに、ぼくも中国茶が好きでよく飲みます。今度上海に行くのでプアール茶のいいのがあれば買ってこようと思ってます。
Posted by: ヨシタカ | 2004.07.16 at 00:22