芽で遊ぶ

かわいい雀舌の芽を並べてみた。
おいしい緑茶は、幸せをくれる。
今年のBlog UPは、今日にて終了。
後日、31日からのBlog をアップします。
みなさん、良い年をお迎えください。
又来年、おいしいお茶をご一緒しましょう!

かわいい雀舌の芽を並べてみた。
おいしい緑茶は、幸せをくれる。
今年のBlog UPは、今日にて終了。
後日、31日からのBlog をアップします。
みなさん、良い年をお迎えください。
又来年、おいしいお茶をご一緒しましょう!

雪水雲緑は、浙江省北部に位置する桐廬・新合郷にある雪水嶺の山麓でとれるお茶。
このあたりは標高が高く、きりが発生しやすい上に、気温が比較的低く、良い茶葉が育つための条件に恵まれた場所。
しかも古くから穀(谷)芽茶と呼ばれる茶が作られていた。この穀(谷)芽茶は1915年の万博で金奨を取るほどのお茶だったが、第二次世界大戦以降の戦争及び内乱で失われてしまったが、1987年に復興させたのがこの雪水雲緑だという。
ほそながく、開花龍頂にも似ているが、やや扁平なのが特徴だ。
個人的には、開花龍頂上の方がすきなのだが、飲む比べる相手としては面白いと思う。

湯の中で揺らめくお茶としては、このお茶がなかなか良いともおう。
もちろん、浙江省 の有名なお茶だ。
開化龍頂は、龍頂潭という湖のほとりで取れる銘茶。
一芯二葉で摘まれた茶は、室内でやや放置された後、180度の温度で青殺され、揉捻と火入れを数回繰り返しできるお茶で、1回に一人の茶師が100グラムから150グラムしか作れない茶で、中国の中でも貴重な茶として知られている。
茶葉はややねじれており、緑が非常に鮮やか。
茎に近いあたりに、奇麗な産毛が生えているのだ。80度で淹れることを中国茶の教科書では勧めている。
17世紀に皇帝への献上茶とされていたらしいが、1970年に現在の茶になった。
秋茶がおいしいお茶でもある。
なかなか中国緑茶の秋茶は飲む機会がないのだが、是非、秋茶を飲んでほしい緑茶である。

浙江省のお茶の中で忘れてはいけないお茶の一つに長興縣顧渚山のお茶、「顧渚紫笋茶」がある。
陸羽の「茶経」に登場するお茶として、つとに有名なお茶だ。長興縣のお茶なので、「長興紫笋」とも呼ばれる。
唐代(AD618~907)には献上茶とされており、西暦770 には国営の製茶工場も作られ、一時期は3万人もの製茶職人がこのお茶の製茶に従事していたという記録が残っている。
もちろん、この時代から元までは、蒸製の餅茶であったが、明代(AD1368~1644)には散茶として作られるようになったが、民国以降、度重なる戦乱に途絶えていたといわれている。1978年に復刻された。
お茶の「顧渚」という名前は、浙江省長興県にある山からとられたもので、この山麓には竹林が沢山あり、昔からタケノコが名産となっていたので、「笋」という名前が付いたとか、あるいは、茶聖「陸羽」が、中国のタケノコの香りに似た香りがするところから、「紫笋」と名前を付けたとか、さらには、このお茶の芽が薄っすらと紫色で、その形状が筍のようだったからとか言われている。
湖州茶区で生産される潅木型の中・小茶樹と似た、地方の群体種だったらしいが、1950年代にこの地方に鳩坑種が導入され、これらが自然交配してこのあたりで育っていたらしい。
さて、薀蓄はこのぐらいにして、このお茶はおいしいか?ということについて、触れておくと、はっきり言って「なかなかいける!」というのが僕の率直な感想だ。
グラスの中でゆれる紫笋茶は、紫という印象はないものの、笋が林立しているようにみえる様は結構壮観であり、結構好きな風景だ。
香りもやさしく、浙江省のお茶としては、結構ワイルドな味わいではないかと思う。上品な甘味があって、飲みやすい。来年の春も、是非飲みたいお茶である。

ここにも書いたけど、緑茶は一年中飲みたいとおもう。
でも、どうしても秋口は青茶や紅茶に手が出てしまう。徐々に涼しい日が続くようになってくると、岩茶や紅茶がうれしいということがおおいからだろうか。あるいは、体を冷やさないようにするという動物としての本能なのだろうか。
それでも、蓋碗に龍井を入れて湯を指したときのあの、ほっこりとした時間が大好きだ。蓋を開けたときに立ち上がるあのなんともいえぬナッティーな香り。そして味わい。
だからぽっと開いてしまった時間は、このお茶と無性に語り合ってみたくなる。同じ龍井といえども、さまざまな表情がある。産地や品種、作られた日にち、そんなものの組み合わせの数だけ、表情があるといっていいだろう。それに水や湯の温度、入れ方。本当に同じお茶は飲めないというぐらい、ときどきの表情を見せてくれるお茶。
でも、ただただ、龍井が飲みたいという日。今日はそんな日だった。

何時もお世話になっている錦園の石部 さんが送ってくれた「しろぼう茶」
棒茶というと「=加賀棒茶」という連想ゲームになるのだが、これはどうも静岡の良質なお茶の茎を焙じたもの。焙じちゃは、どうしても火をいれるので、茶色になるのだが、これははぜか白い。だから「しろぼう茶」。
茎だからおいしくないかなとおもったのだが、そのまま口に放りこんだら、これがまたさくさくと口のなかでくだけておいしかった(うーん、ついつい茶葉そのままを口にいれてしまうのが、僕の癖なのだ。)。
で、大き目の急須にいれて出してみた。美味しい食事を鱈腹たべていたときだったので、やや弱いかなと思ったのだが、いやいや、ぜんぜんそんなことなくて、「あれ!このお茶おいしいねえ!」というのが皆の評判だった。
錦園のHPには、いろんな淹れ方、楽しみ方が掲載されている。今回は、「熱さと香りを楽しむ」というやりかたで淹れたのだが、なんだかほっとする美味しさだった。
いろいろと常に工夫し、前向きに提案する石部さん。本当に頭がさがる。美味しいお茶をありがとうございました。

中国の陶器の産地としてつとに有名な江西省景徳鎮。そこで作られるお茶がこの「得雨活茶」。このお茶は、ここ数年日本でも「人民大会堂の国宴茶」として知られている。
この茶をはじめて飲んだのはもう5年ほど前だろうか。3gが赤い袋に入っている。白居易が景徳鎮の茶を好んだという話が残っているのだが、それがこのお茶ではないかといわれている。でも、かれは江西省のお茶を広く飲んで歩いていたらしいから、いつものことだが、真偽の程は解らない。
でも、どうやら国宴茶になったのは、江沢民 元国家主席が好んだかららしい。江沢民は、お茶にうるさかったらしいのだが、どうして、龍井ではなくこのお茶にしてしまったのだろう。この茶の前は龍井が国宴茶だったらしい。
「雲霧茶」ともいわれるように、華奢な芽の茶だ。思いのほか、味わいに重みがあり、芽のお茶にしては力強い。

様々な銘茶を生みだしている茶産地の江西省のお茶のなかでは、僕は狗牯脳茶という緑茶がすきなのだが、たしかに、仕事をしながら飲むには良いお茶だ。力強さは、おそらくカフェインが多いことが原因なのだろうが、おかげで頭がはっきりする。
仕事向きの茶というところか。でも、茶底はとてもきれいなお茶だ。あとはパッケージをどうにかしてよという感じだが。

今月の頭に静岡へ行った際に食べたお弁当。そのまんま「茶めし」という名前がついている。緑茶+抹茶で炊きこんだご飯なんだそうだ。
おかずの方はいわゆる幕ノ内弁当と同じなのだが、このお弁当の特筆すべき特徴は、そのご飯の味と、ご飯の上に乗せられている茶の葉っぱ。

このご飯は、さらりとしていた。炊き立てのあつあつに、ほんのすこしぱらぱらと塩などをかけたらもっと美味しかったに違いない。残念ながら、お弁当なので、贅沢はいえなかった。
茶葉もそのまま食べてしまえるのがうれしい。こういうお弁当、もうすこし知れ渡ってもいいのになあ。

午子仙毫は、陝西省漢中市西郷県で作られる緑茶だ。名前のとおり、白い産毛が仙人の鬚のように生えているのが特徴。、「午子」というのは、このお茶を作っている企業が付けたいわゆる「ブランド名」。では、このブランドはどのように漬けられたかというと、どうやら近辺にある山の名前らしい。
西郷では、古くからお茶が作られてきたらしく、文献では「秦漢の時代」から茶業が始まったというが、真偽の程はふめいである。それでも、 唐の時代に入ると。陸羽の茶経にも出てくるので、それなりの産地だったのではないだろうか。いわゆる皇帝への献上茶だったらしい。まあ、当時のお茶とこのお茶では、相当な違いがあっただろうが。
この地域は、本当はお茶よりも「朱鷺」で有名なのだ。たしかにこのお茶を買った時にいれてくれた袋には、朱鷺の姿が描かれていた。
さて、このお茶は、世界お茶まつりに出展していた漢中のブースで販売していたもの。30g程度の袋に入って500円。この品質でこの値段はめちゃくちゃ安くないかい。たぶん、デモンストレーション用だったのだろう。
お茶の袋には、「 北緯33度の秦巴山地に位置し, 海抜800--1200メートルで、四季の降雨量が豊富し、気候が暖かくして、中国で一番北よりの茶産地」であることが書かれている。
この地域で作られるお茶が、いわゆる「午子緑茶」と呼ばれるのだが、その中でも清明の前に摘まれた芽のお茶を「仙毫」と読んでいるようだ。そのほかにも30もの品種・等級があるらしい。
中国緑色食品に認定されいるので、パッケージにその印がついている。また、「中国国際茶博覧会金賞」、「中国公認銘茶」、「中国名茶」、「陝西省名茶」、など多くの賞も取っているらしい。
実際に飲んでみると、白茶のような淡い味わいながらも、口に残った味わいには、妙に緑茶らしいメリハリが感じられる面白いお茶だった。芽のお茶らしく香りは淡いが、強いお茶ということなのだろう。
陝西省午子緑茶有限責任公司というところで販売されている。

この秋、四川省雅安県の蒙頂で、国際茶文化節が開催された。そこに参加した日本人も少なくなかったようだが、そのおかげで、いままで日本に入ってなかったお茶が持ち込まれている。
四川省は古くからのお茶の産地。喫茶の起源も四川省だなんていわれるほど古い土地柄。中国茶の歴史に興味を持った人は、かならず、僮約という話を聞いたことがあるはずだが、この僮約の舞台も四川省だった。
現在でもさまざまな緑茶などが作られているが、ここに並んでいる小さな袋入りのお茶もすべて四川省のもの。緑茶と茉莉花茶だ。ぜんぜん知らない名前のものばかり並んでいる。
お茶の名前は、産地、品種、茶葉の形状などをベースに付けられることが多かったが、今では、自由にというか無秩序に付けられることがおおいので、知っているお茶にされ、しらない名前が付いていることが多い。
でも、それを新しいお茶として売り出す新しい会社があっても、なんの不思議もない。むしろ自由競争によって品質が向上すれば、それに越したことがないからだ。
このお茶立ちのパッケージの多くに「緑色食品」の印が付いている。90年代になってあまりにも農作物に対する認識が低いことを反省した中国政府が独自に立ち上げた基準をチェックする体制がこの緑色食品。
こういう仕組みがどんどん増えて、新しい企業がたくさん良いお茶を輸出してくれることは、僕たち消費者にはとてもありがたいことだ。
中国も変化しているんだな。

この小さくて華奢な緑茶は、四川省で作られたもの。叙府茶業有限公司の開発したもの高山茶だそうで、一煎分ずつ小さな袋に小分けされている。

ガラスコップで淹れると、懐かしいような香りで、小さめの茶葉もきれいにたっている。まだまだ知らないお茶がたくさんあるので、なんだかうれしい。

一年中緑茶を飲みたいと思う。そんな中で一番のめるお茶は、やはり龍井ではないかと思う。細くて華奢なお茶や産毛の多いお茶は、そのあたりから劣化して来るんでは無いか。しっかりと釜で押しつぶされている龍井だからこそ、保存にさえ気をつければ、かなりおいしく飲めるんじゃないかと思うのだ。
もちろん秋茶の緑茶もある。敬亭緑雪などの秋茶は、なかなかにおいしい。それでも、そんなお茶を入手するのはまだまだ難しい。そうなると、できる限り保存のよい緑茶を探して買ってくることになるのだが、春の旬のお茶のおいしさを知ってしまっているので、なかなか緑茶探しは難航する。
だから、そんな時には、龍井なのだ。これは比較的あたりはずれが少ないとおもう。秋にだって、おいしい緑茶がのみたいからね。


これは緑茶になるんだろうか、黒茶になるんだろうか。四川省雅安で作られる固形茶である。蔵茶という名前のとおり、おもに西蔵方面へ送られているお茶らしい。
四川省では、むかしから重慶(いまは四川省ではなく独立行政区になったが)沱茶が有名なので、固形のお茶を作っているのは知っていたが、このようなお茶も作っているとは、ちょっとおどろいた。
何を驚いたかというと、このお茶、なんと蒙頂山の茶葉で作られているのだそうだ。しかもその茶葉を一年程度寝かせてあるのだとか。蒙頂山といえば、かの有名な蒙頂甘露とか蒙頂黄芽とか有名なお茶を輩出しているめちゃくちゃ古くて有名な茶区だ。
どのような理由で、そんな有名な茶区でこのようなお茶が作り出されるようになったのか、そんなことに興味と驚きを感じているわけだ。
味はおしてはかるべし。見た目だけでも分かるというもの。キャラメル大の大きさのこのお茶を一つ蓋碗に放りこんで湯をさすと、なんとも「蔵茶」の名前にふさわしい茶が出来あがる。やはりミルクは必要かもしれない。(苦笑)
まあ、面白いお茶といえば面白いのだが、普段飲むことのないお茶である。

番茶というのはおもしろい。言葉の語源は、一番茶に比べて遅い時期のお茶を総称して番茶といわれているが、焙じ茶のようなものも番茶といわれる。時期が遅いお茶は、茶の葉っぱがおおきくなってしまうので、製茶がしにくく、荒荒に緑茶をつくったのこりで、焙煎をかける場合もあって、そんなものが一緒くたに成ってしまって居るようだ。
ところで、番茶類のなかでも異色のものの代表として「京番茶」がある。一堡堂の炒り番茶などはその中でもすごい存在だ。とにかく、大きな袋のなかには、茶葉がそのまま焚き火からすくい上げられたように満載。そして、 焚き火そのものの香りがする。
夏の暑い時期にはこいつを冷蔵庫できんきんに冷やすとおいしい。そして冬は、ぐらぐら煮立った湯で出してやると身体ぽかぽかする。
京番茶は和菓子にもあう。きょうは蕨餅とあわせる。黒蜜をたっぷりとかけた蕨餅は、口の中でフンワリとした感触。そんな御菓子の持ち味を消さないように、そしてひきたてるには、なかなかお茶で迷うことがあるのだ。でも、この京番茶は、まさにそんなお茶。
京都の山里の秋深まった時期、お寺の土塀近くで焚き火をしている風景。そんな風景の中にふらりと旅して立ち寄ったような、そんなイメージのお茶。
なんだかとても懐かしい香りのする、こんな京番茶で頂くわらびもちは、大層美味しかった。

貴州省のお茶というのは、あまり飲む機会にめぐまれないが、その中でもっとも有名なのが都匀毛尖だ。貴州省南部にある都匀市から程近い[口+オ]山で作られるお茶で、白い産毛のたくさんある、華奢なお茶なのだが、味わいはしっかりとしたお茶だ。
明代には作られていたお茶だが、他の緑茶の例にもれず、戦後の混乱などでお茶つくりが途絶えてしまっていたものを、1968年に復刻したもの。
見た目は碧螺春のような感じだが、もうすこし芽は大きい。調べてみたら、中葉種の茶樹を使っているのだそうだ。1982年には、中国十大銘茶の一つに入れられた。

比較的飲み易いオーソドックスな中国緑茶といえるだろう。ガラスコップで飲んでみたが、茶葉も一芽一葉のものが多く、やわらかい。
貴州省といえば、銀球茶とか古銭茶とか、面白い緑茶もあるので、こんど探してこよう。

黄山毛峰は、今更説明するまでもない、とても有名なお茶だ。龍井、碧螺春と並び賞される中国三大名緑茶と呼んでも良い。
産地は安徽省黄山市。仙人が住むような広大な岩山をもつ黄山山系は、中国でも有名な観光地にもなっているし、文化遺産にも登録されている。この黄山一帯は、古くから茶の産地としても知られ、山麓の黄山市の中心地でもある屯溪は、茶の集積地としても知られている。
屯溪に集積されるお茶は、屯緑とよばれ、その昔17世紀以降、広くヨーロッパにも輸出されている。トワンケーと呼ばれていたのがそれだろうと推測されている。あの時代のお茶は、ハイソン(その中でもヤングハイソン)を頂点として、ハイソン・ピーコー、シンロ、トワンケー、ガンパウダーなどが広く輸出されていた。これらのお茶がどのようにヨーロッパで飲まれていたのかは、非常に興味深いところだ(いまだって、ドイツの緑茶輸入量がかなりの額に上るといわれているのだが、これらのお茶がどうやって飲まれているのかは、なんとも謎だ。)。
ところで、このお茶はそんな黄山毛峰の中でも、芽の部分だけを丹念に選別した「雀舌」と呼ばれる高級なもの。味わいも、甘味がとてもある上品な仕上がりだ。黄山毛峰特有のワイルドさにやや欠けるが、口の中でフンワリとひろがる味わいは、まさに玉露といっていいものだ。
こんなお茶を飲めることに感謝したくなる、すばらしいお茶であった。

僕の好きな緑茶の一つに信陽毛尖というお茶がある。中国河南省南部大別山区の信陽県が産地のお茶だ。東車雲山一体で作られれるのがもっとも品質がよいといわれている。細い茶葉にはびっしりと白毫が生えている。
このあたりの茶業の歴史は、非常に古く、東周の時代だと言われている。もちろん、唐代陸羽の茶経にも「光州茶」として記載され、その評価もかなり高い。
宋代には、「淮南の信陽のお茶が第一である」といわれたほどのお茶が作られてきた。明代になると散茶が作られるようになり、清代の末に毛尖として今の姿が生まれたといわれる。
このお茶のおもしろいところは、「安徽省の六安と浙江省の龍井の製造工程を模倣した」といわれるところ、見た目はぜんぜんどちらのお茶にもにてないじゃないかと思う。
味わいはさっぱりとしていて、甘みが口の中に残る。おいしいお茶だ。日本で多く見かけることが無いのが、なんともざんねんではある。
このお茶には、お茶の神様が病気を治してくれたお茶としての伝説がある。病気に効くという話は、日本の専売特許では無いのだなあ。

湖南省のお茶を飲む機会はあまり多くない。たまに飲む機会があっても、それほどおいしというお茶に恵まれずにいた。そんな少ない経験から、湖南省のお茶は独特のえぐみを持った飲みにくいお茶という偏見をすっかり持ってしまっていた。
もちろん、君山銀針は別格だ。これはめちゃくちゃ美味しいものにであったことがあって、ほう、黄茶ってこんなにおいしいのかと、脱帽して「参りました」と頭を下げたことがあった。
しかし、黄茶は置いておくとしても、そもそも湖南省の緑茶を掲げよなんていう試験があったとしたら、みんなどれだけ答えられるだろうか。浙江省とか安徽省のお茶に比べて、それだけ日本ではマイナーな茶産地でもあった。
ちなみに、湖南省のお茶には、こんなものがある。
安化松針、回峰、岳北大白茶、岳麓毛尖、河西圓茶、官庄毛尖、牛抵茶、碣灘茶、江華毛尖、高橋銀峰、黄竹白毫、松磁碧澗茶、湘波茶、韶峰、雪峰毛尖、獅口銀芽、双峰碧玉、太青雲峰、ちん州碧雲、東湖銀毫、洞庭春、洞庭春芽、南岳雲霧茶、白石毛尖、玲瓏茶・・・。
さて、どれだけのお茶を目にしたこと、あるいは口にしたことがあるだろうか。「安化松針」は茶葉リストの上位に出てくるお茶なので、名前ぐらいは見たことがあるかもしれない。それから、かろうじて高橋銀峰を飲んだことあるという人がいるかもしれない。それ以外は、ほとんど日本ではお目にかかることがないといっても良いかもしれない。
それほどに、湖南省のお茶は日本には馴染みが薄い。
そんな湖南省のお茶にここでであった。そう、このお茶は、湖南省の「古丈毛尖」というお茶なのだ。
湘西土家族苗族自治州の中心吉首(きっしゅ)の北約50kmの古丈県で作られるお茶。つまり地名がそのまま名前になったお茶。じつは、僕の本家HPにある「中国銘茶図譜」には、「なぜか味は、ちょっと日本人の口には合わない湖南省独特の緑茶の風味です。 」と書かれている。
そう、このお茶に対してまで、こんな思いが染み込んでいたのだ。「湖南省のお茶はまずい」。でもしれはウソだった。湖南省のお茶には、美味しいものがある。すくなくとも、今の僕の認識はこのように変化している。もちろん、碧螺春や龍井のように、洗練された味わいではない。どこか田舎臭い、垢抜けない印象派ある。でも、それだけにのびのびと育ったという感じのする味わいがまた良いのだ。
10年近く中国茶と向き合ってきて、まだ時々こういうお茶に出会えたりすることがあることが、やはりとても嬉しい。だから中国茶はやめられないと思ってしまう。
こんな出会いをくださった菊地先生に感謝・感謝である。

このところ、母親が煎茶の水出しにはまってたので、飲む機会が多かったのだが、きちんと淹れた煎茶をロックアイスで冷茶にするというのを頂いて、「ふはー、これはうまい!」とうなったのだった。
煎茶の冷茶を作ってくださったのは、宮崎の日本茶専門店「美老園」の社長久保さん。
久保さんとは、まだ邀月茶藝館が渋谷にあったころ、そこで開かれたとあるイベントでお会いしたのだった。宮崎のおいしい日本茶の卸しをメインにしているのだが、最近では、お茶の博士であるためには、紅茶、中国茶のことも知らないと、日本茶のよさって分からないと、中国茶も熱心に勉強されている。
そんなご縁で、お店まで押しかけた時に、飲ませていただいたのがこの冷茶。
宮崎のお茶って、何処と無く芯があって骨太だなあとおもうが、こうして冷たいお茶にするには、本当にもってこいのお茶だと思う。何倍でもお代わりしたくなるような味わいのお茶で、これは水だしなんかでは出せない味だ。
宮崎では、全県でお茶を作っている九州のなか、いや全国的にもお茶の産地なのだが、東京にいるとあまり宮崎のお茶って、飲む機会がない。九州といえば、八女とか嬉野が思い浮かぶが、宮崎???という感じだ。かろうじて、五ヶ瀬の釜炒り製玉緑茶を知っているぐらい。
静岡や宇治、そして八女のお茶ともまた違った美味しさをもつ宮崎のお茶。これはじっくりと飲んでみたいぞと久しぶりに思った緑茶だった。
ついでにその五ヶ瀬の釜炒り製玉緑茶を仕入れてきたので、10月末に開催するfteaのTea Worldで、皆に飲んでいただこうかと、密かに思っているところだ。

たしかに、このお茶はめちゃくちゃ高い。それもそのはず。国家外交用なのだとか。のーとみさんをして「おいしいお茶」と言わしめたのは、太平猴魁でも、極品と呼ばれるもの。中国では、一般に良い太平猴魁は、「高価な蘭の香り」がするといわれている。
じつは、3種類の太平猴魁があって、これは名古屋の愛子師匠が届けてくれたもの。だから、60g9000円というのはちょっと違っていて、3種類が20gずつでトータルで9000円ということなのだ。だから、おそらく、このお茶だけだと、もっと高いのだろう。というか、ほとんど市販はされないお茶だ。
以前、ここで書いたのは、この極品とは違う天然野生のもの。「野生の蘭の香り」だそうだが、ちと疑問。いずれにせよ、どちらも柿大種の茶樹から《ニ刀挟一槍》と呼ばれる形で摘まれた春の緑茶で、茶葉がものすごく大きいのだ。そしてきれいな色をしている。良いものは、茎が赤い(茶色?!)のが特徴だそうで、見事にしっかりと赤い。高山の老蓬のみで作られるから、味わいが見事に違う。
愛子師匠の話だと、
産地は、ここ黄山のtun渓からだと、何時間も車で走って途中から山奥に入って進んで湖まで行って、船で山の間の湖をうねうねと突き進み渡ったところが原産地・・・と書いてありますが(ここでは主に新品種の猴尖7号、8号などを栽培)、そこから更に1時間ほど山を登ったところに小さな集落があり(ここまでは行こうと思えば一般の人でも入ることが出来る)、そこから更に1時間ほど登った山奥に、太平猴魁の好い茶樹があります。普通の交通機関を使って、ここから一日では往復できません。もし天気が好くて、もし運転する人が道を知っていて、もし専用の自家用車があって、夜明け前に出発、数時間過ごし、休憩取らずに走り続け真夜中に帰ってくる、それなら日帰りも可能。集落から更に山の上の方まで登るなら、日帰りは難しいでしょう。
こんな凄い極品を作れる好い芽の茶摘みは、めちゃくちゃ危険なのだとか。茶樹の根元につかまりながら一歩一歩急な斜面の茶畑を登りながら茶摘みをするんだとか。そんな労力をかけて作られた少量のお茶が、中国では、国の高官にしかいかないというのも、なんだか寂しい気もする。でも、金持ちの所にしか良いものが行かない日本も同じように寂しいか・・・。
太平猴魁の天然野生はもっと奥の、岩のごつごつした渓流のとてもきれいな場所に生えています。

「好きな緑茶はなんですか」と聞かれたら、まず名前をあげると思うのが「太平猴魁」。初めて飲んだのがシンプソンティーオフィスの吉岡さんに送っていただいたもの。
茶葉を見てびっくりしたのは、もうずいぶん昔の話。それにしても、こんなお茶が中国にはあるというのが、さすが中国茶の多様性を如実にあらわしている。
今では日本でも扱うお店が増えてきたけれど、緑色の綺麗な太平猴魁に出会うのは昔は難しかった。保存技術の進歩か、それとも中国側の進歩か。いずれにせよ、ばらばらに砕けやすいこの茶葉を、これだけ綺麗にそのまま日本に持ち込むことができるようになった時間という進歩。

このお茶は、湯飲みかガラスコップにそのまま入れて湯を注いで飲むのが一番だ。蓋碗とか茶壺なんて使わない。晴れの日の日中ならガラスのコップ。夜なら湯飲み。
この茶葉がガラスコップの中でゆらゆらとゆれている姿は、どんな中国茶の中でも一番だと僕は思っている。そんなにすばらしい緑茶。こういうお茶を、もっともっとみんなに知ってもらいたいものだ。
このお茶については、こちらをどーぞ!

あなたは「佛」という字の付くお茶の名前、いくつ知っているでしょうか?
佛手
佛海白毫
大佛龍井
化佛茶
佛山白茶
普沱佛茶
仏螺花茶
仏光茶
仏香茶
他にもあるだろうね。ちょっと探すの面倒なので、このくらいにしておくけど、ほかにご存知の方、教えてください。
で、このお茶、「仏香茶」。
仏の香りのお茶なんていうと、どうも線香とか抹香臭いという感じだが、このお茶は、おいしいのだ。うねっている茶葉には多くの白毫が含まれていて、甘みもあるおいしい緑茶だ。
このお茶は、雲南省の緑茶。[孟力]海のお茶で、雲南省農業科学院茶葉研究所で開発された佛香1号、2号、3号といった品種があるらしい。
雲南省の緑茶らしく、とても香りの良いお茶で、雲南省の緑茶好きは結構好きなタイプのお茶だと思う。この手のお茶は、蓋碗で飲むのがいいのかな。
またまた気に入ったお茶に出会えた。ありがとうございました。

韓国のお茶については、「韓国伝統茶」で書いたことがあった。最近では、韓国でも緑茶が見直されて、茶礼というのが茶藝のようにブームになっていると聞く。残念ながら、韓国の場合はハングルなので、サイトをあちこち回って歩くことができないのだが、時々、こんなサイトやこんなサイトをみつけては、字が読めないながら、楽しんだりしている。
ところで、韓国のお茶のことを書いた文献を、事情があって探していた。
「韓国の茶道文化」(金明培著)という本はもう何年も前に購入して持っていたけど、最近の話が知りたかったので、他にも検索。
で、あたったのがこの本。
でも、残念ながら、そんなに詳しい話は読めなかった。
日本の人があちこち茶畑を歩き回っている話をサイトで拾ったほうが、直近の話を知ることができるのかな。
ともあれ、韓国のお茶のことが知りたければ、ここは必見!
閼伽

この緑茶は巴南銀針。
素性は重慶市のお茶らしい。
重慶というといまだに四川省というイメージがあるのだが、いつのまにか特別市になってしまった。上海とおんなじだな。
この重慶に巴南という地域があるらしい。
そもそも巴とは、非常に古い時代から活躍してきた巴人たちがいた地域。
三峡ダムで有名な三峡地区を中心にその文化が形成されていたという。
戦国時代に秦に滅ぼされたらしいが、地名として残っている。
そんな地域で作られるお茶らしい。
四川銘茶という本があるのだが、残念ながらここには登場しない。
その意味で、これも素性のわからないお茶の一つ。
でも、なんだかおもしろいなあ。
どこで作られている河から無い緑茶をこんな風に日本で楽しむ。
どんな土地なのか、そこにはどんな人たちがすんでいるのか、そんなことに思いをはせて、グラスを傾ける。
こういうことがあるから、中国茶ってやめられないのかもしれない。
やはり、飲んだことのある名も知らないお茶の産地をあちこち巡るのが、いまのところ僕の夢かもしれない。
まあ、ささやかではあるが。

週末に緑茶を楽しんでいる。今年の青茶がいろいろとてもとにあるのに、なぜか緑茶がよいのだなあ。何でだろう。緑茶を飲むと、なんだか元気になれるんだな。
青茶だと、リラックスしてまったりとなってしまうのかもしれない。緑茶はその点、気分をしゃきっとさせてくれる。
それに、こんなに暑い日が続くと、体の温度調整ができなくなってくるので、暑い緑茶を飲んで体を冷やすのがいいのかもしれない。
7月になってからリアルで動いている3つの部署を瞬時に渡り歩きカジ取りするのは、相当のストレス。気も抜けない。組織変更があったので、今までのルーティンもやり方を見直さなければならないものがたくさんある。だから常に戦闘体制にしてなければならないのだ。
週末にこんな風に体を元気にして、またウイークデイに鎧を着て戦場に出陣するのだ。そんな元気をくれる緑茶が、いまは一番好きかも知れない。

中国にはものすごく沢山の数のお茶が存在する。
特に緑茶は、最近それを生産している企業体が様々な名前をつけるので、それこそ、星の数ほどお茶の名前が存在するといっても良いかもしれない。
だから、その正体を知ろうと思った時に、ものすごく労力が要る。素性がハッキリしていれば、比較的たどるのには苦労しないが、例えばお茶に興味のない人がたまたまお茶をもらったといって、おすそ分けしてくれるようなケース。こんなときは、手がかりがほとんどない。「緑茶だといってもらったのだけど」程度の情報ではほとんどお手上げ。
緑茶だなんて情報は、茶葉を見れば分かったりする。それ以上の情報が欲しいのだよね。

例えばこのお茶。解かるのは名前だけ。
名前は「雲屯峰」という。
どこかの山の名前かなとおもってググッてみたが、結局不明だった。
「雲屯」で調べてみると、ベトナムの古い皆との名前が見つかったりしたが、あまり関係ないか・・・。
「屯」は「たむろ・する」という意味の漢字で、中国でもほぼ同じような意味に使われているらしい。つまり雲が集まって留まってるというのが「雲屯」の意味か。で、そんな山の峰。それで「雲屯峰」。
結局分かったのはここまで。
もうしばらく、検索が続きそうだ。

このお茶は、「叙府春芽」という名前。
四川省のお茶。
叙府茶業というところが作っている。
宜兵市というところで作られるお茶。
四川省は緑茶の産地。
様々な銘茶を生んできた茶文化の故郷でもある。
きれいな新芽ばかりを集めたお茶。
味わいはすっきりとしていて、おいしい。
グラスに入れると、しばらくして浮き沈み。


日本茶だって大好きだ。でも、あまりに普段のお茶になってしまっているので、「取って置きの」という場合以外、ほとんど飲む銘柄が固定してしまっている。この状態は、コーヒーとおんなじだろうか。コーヒーなら、コクテール堂の豆かイルガチャフェ。そして日本茶なら奥八女の玉露か宇治の煎茶。
ところが、我が家の定番はもう一つある。それが加賀棒茶。このお茶をはじめて飲んだのは何時のことだっただろう。たぶん、大学で中国語を教えているかほりさんから送っていただいたんじゃなかったっけ。
それ以来、ほうじ茶系のお茶なら誰がなんと言おうと、「加賀棒茶」が一番。それも、丸八製茶場のものが一番。
だから、TORAYA CAFEも、丸八製茶場のお茶を使ってほしかったなあ。ここの棒茶は葉っぱが混ざっていた。そのぶん、茎の味が殺されてしまっているのが残念。
そう、棒茶のすばらしいところは、茎のためにお茶を作っていること。もちろん葉っぱも無駄にはしないのだが、茎にこだわったお茶なのだ。よく茎は雑味がでるので取り除くことがされる。たとえば抹茶の原料の碾茶は、茎はもちろんのこと、葉脈まで取り除いてしまう。いうなれば、抹茶の対極にあるのが棒茶なのだといえるだろう。
ともかく、これは暖かくても冷やしてもおいしい。以前、真夏の金沢を彷徨してたどり着いた「茶房 一笑」でのんだ水出しかが棒茶は、それはそれはおいしかったのを覚えている。まだ飲んだことの無い人は、是非飲んでもらいたい日本の味。

僕は自称中国茶好きのダージリニストである。つまり、ダージリン大好き人間なのだ。もちろん紅茶は他のものもいろいろと飲むのだが、その中でどれか一つ選べといわれると、ダージリンを選んでしまう。
これはきっと、中国種(あるいは中国種を改良したハイブリッド)による紅茶だからということと、なによりもその香りの良さに惹かれている点が大きいだろう。
そのダージリンにも、このところ、いろんな試みが行われているのは知っていた。特に、中国のお茶を模倣した製茶法の導入というのが行われていて、ダージリンウーロンだの、ダージリングリーンなど言う名前は、既に数年前から日本にも聞こえてきていた。さらに、白茶の製法で作られたダージリンホワイトなんていうものまで登場して、「うーんダージリンどうしゃったんだよう!」という感じだった。
聞くところによると、ドイツ、アメリカ、イギリス、日本などの紅茶輸入国のニーズに合わせるために茶園も様々な努力をしている過程で登場してきたお茶らしい。
「本来の、ダージリンらしいダージリンを作った上で、これらの様々なお茶を作って工夫していくのは賛成なんですけどね。」と、僕の京都の姉さんであるラ・メランジェの松宮さんは言う。
その松宮さんが、みなさんで飲んでといって届けてくださったのが、この「マカイバリ農園の釜炒り緑茶」。先日の竹里館での黄さんのテイスティングでも、及第点を取ったこのお茶は、様々な国の身勝手なニーズに翻弄された結果であるところのいいかげんな緑茶では決してなく、非常に真面目な作りをしている。
なんでも、3月に京田辺市の日本緑茶の手揉み職人たちがマカイバリ農園を訪問し、手揉み製茶を実演して見せたそうだ。そんな民間交流が、このお茶を生んだのかもしれない。
ダージリンの持つ気品の高さを維持しながら、まだ開ききらないつぼみの花のようなそんな印象のこの緑茶は、いままで飲んだことのあるダージリングリーンと比べると、かなりおいしいと思った。
年々青くなるダージリンのファーストフラッシュ。これは日本からのニーズらしい。この釜炒り緑茶は、そんなに青いダージリンが好きだったら、ここまで青すればよいとさえいえる青さ際だったお茶ではあるけれど、紅茶の作りで発酵を浅くするよりも、緑茶の作りで発酵を浅くするほうが自然の摂理にかなったものであるということを切実に思わせるものであった。
これはこれで美味しいのだ。しかし、やはり紅茶は紅茶。セカンド或いはオータムナルのような、非常にしっかりとした奥行きのある深みがダージリンの紅茶には欲しいと思った。

昨日に引き続き、香香から届いた緑茶を楽しむ。緑茶三昧というのは、なんと贅沢なんだろうと、毎年この時期そう思う。
今日のお茶は信陽毛尖。河南省の代表的な緑茶だ(というか、河南省のお茶は、これと仰天雪緑しか飲んだことがない・・・。)。
このお茶をはじめて飲んだのは、もうだいぶ昔のこと。ラサ企画の亀山紀子さんが、おいしい信陽毛尖が手に入ったからといって少量分けてくださった。非常にきれいな色をした華奢なお茶で、湯を注ぐとこれもまた繊細な香りととても甘みのあるとてもおいしいお茶だった。それ以来、信陽毛尖は、僕の中で、緑茶No.1の座を占めるようになったのだが、それ以後、おいしい信陽毛尖にであわなかったことと、雲南省の緑茶においしいものがでてきたことなどから、このところ、その順位は少し下がっていた。
産地は、河南省信陽県西南部山岳地帯(東雲山、集雲山、天雲山、雲霧山、震雷山、黒龍潭、白龍潭など)。清代末期から作られるようになったらしいが、この地区の茶の歴史は非常に長いらしい。東周の時代には、このあたりの地名が茶の産地として本にあらわれているようで、陸羽の茶経にも「又陽郡の光州茶」として登場している。
もともと、安徽省の銘茶「六安瓜片」と浙江省の銘茶「龍井」の作り方をミックスしていたとのことだが、今ではそれらとはにても似つかない、「毛尖茶」として作られるようになっている。

久しぶりに飲んだ信陽毛尖、これもまた甘くておいしいお茶だった。栗の甘さにたとえられることがあるらしいが、確かにそんな感じの甘さだといえよう。
この繊細な茶葉は、宜興で作られる陽羨雪芽に似ている。陽羨雪芽の方がもうすこし白毫がおおいが、それでも、ガラスコップの中には結構な数の産毛が浮くのが見える。個人的には、碧螺春よりも好みだ。
こんな茶畑(Yahooニュースより)らしいが、ここの茶畑だけは、絶対にいつか行ってみたいと思っている。

ぐるぐるの茶葉の緑茶。北海道の香香の遠藤さんから送ってもらったもの。
名前は涌渓火青。安徽省宣城地区涇県涌渓山山麓の黄田郷を中心に作られる緑茶だ。明代から作られているという由緒あるお茶である。この産地は宋代から文献にのこってるので、もしかしたら、もっと前から作られていたお茶なのかもしれない。
いままで見たことのある涌渓火青に比べて、とてもきれいな緑色をしている。いままで飲んだこのお茶は、比較的火入れの強い、表面が黒っぽく光っているものが多かったが、これはとてもきれいな茶葉。
くるくると巻いてあるのがこの茶の特徴。揉捻までは他のお茶と変わらないオーソドックスなつくりのお茶なのだが、整形工程が複雑怪奇。
一回の工程で7種の揉捻工程を経て整形されるのだとか。7種類も揉捻の仕方があるのかと驚くのだが、ちゃんとそれがあるのだなあ。
「圧」=たてに押しつぶす
「堆」=横に押しつぶす
「翻」=ひっくり返す
「炒」=炒め押しつぶす
「斉」(テヘン)=窮屈な状態にする
「滾」=ころがす
「轍」=ひき潰す
これらの整形方法を組み合わせて、揉捻が行われる。熟練の仕事が必要になる工程だ。このお茶の作り方だけは一度みてみたいものだ。
台湾の高山茶や安渓鉄観音などが布に包んで包揉されるのにたいして、この形を作るのはすべて手の技。

茶葉の表面に結構光沢があるのは、揉捻作業を行うときに、釜の表面に茶油を敷くからだそうだ。それによって茶葉がきれいになるのと、形が崩れにくくなり、保存も利くのだとか。いろんな工夫がしてあるものだ。
涌渓柳葉種という地元の品種などが使われているのだそうだが、一芯二葉の比較的小さめの茶葉が使われていて、ところどころ産毛が生えている。
味は、火入れの味がまず前面に感じられるが、その火入れの味の向こう側に、かなりしっかりとした緑茶の味わいが潜んでいる。火入れの味が気になるようなら、一煎は放棄して洗茶を手早くしてから、二煎目以降を本格的に味わうと良いだろう。
濃く入れると、やや渋みがたつが、いやな部類の渋みではなく、口の中でじんわりと甘みに変化する。この手のお茶は結構インパクトがあって、食後とか、ねむいなあと思ったときにおいしくのめるので、僕は好きだ。
記録によると鄧小平が獅峰明前龍井と並ぶ茶と賞賛したという記録が残っている。龍井とはまるで違う性格のお茶で、比較するのにはかなり無理があると思うが、お茶好きにはたまらないお茶なんだろうなということはわかるね。
こういう、何気なくおいしいお茶をそろえているところが香香のにくいところなんだよね。

見た目は普[シ耳]茶の方茶。大きさは2cm四方。雲南省のお茶ではあるのだが、これは普[シ耳]茶ではないのだ。このお茶の名前は「糯米香茶」。
雲南省文山州廣南県底扞村などで作られるお茶で、沱茶として作られることもある。普シ耳茶のように握堆していないので、緑茶の部類と考えるのが素直なのだろう。
しかしながら、単純な緑茶ではなく、もち米を蒸したときと同じ香りがするといわれる「糯米香葉」が混ぜられている。そのために、この名前がついたらしい。
このようなお茶が作られるようになった根源は、どうも、もち米の上にお茶を乗せ蒸した時にお茶に餅米の香が付いて美味しかったというのがあるようだ。一部では、このようなやり方でお茶を作るというのもあるらしいが、貴重なもち米を、お茶を作るだけのために蒸すというのは大変なことなので、この「もち米を蒸したときの香り」と似ているという糯米香葉を混ぜることによって、そのお茶を再現したのが糯米香茶というところだろう。
もち米の香りをつける意味というのは、何処にあるのだろう。米食をするアジア人にとって、もち米の香りって良い香りだと認識されてきたのだろうか。自宅で正月前に餅を搗く時にもち米を蒸す以外、普段の生活ではもち米の香りって嗅ぐ機会がない僕には、懐かしさを感じさせる香りではないので、折角のシ眞緑茶にわざわざ香り付けする動機が今一つわからない。もち米を蒸す香りに包まれて生活している人にとっては、このうえなく良い香りなのだろうか。
ところで、この画像のお茶は、本当にもち米を蒸したときの香りがするのかというと、「うーん、これがそうか?」というようなわずかな香りがするだけで、焙煎の強すぎる緑茶の固形茶という味だった。確かにうっすらとシ眞緑の味わいが後味として残っているので、熟茶というより青餅のような感じだが、好きではない味わいになってしまってるという感じ。それに焙煎がきつ過ぎるかな。折角のシ眞緑が台無しだよね。

茶を淹れてみると、茶葉はくずくずの緑茶。それなりに緑色をしているので、燻焙をかなりしているようだ。
この四角いキューブ状に固められた茶渣の中に、いちまいだけ色の違う葉が混ざっている。葉脈のつき方などが他の茶葉とは違うので、これが糯米香葉なのだろうと思い、他の葉と香りを比べてみると、たしかにこれが「もち米を蒸した香り」というのだろうと思われる香りが、この葉から立ち上っていて、明らかに他の茶葉と香りが違う。
こんなのが一枚入っているだけで、味わいが変わって仕舞うほど、強烈な香りの葉っぱのようだ。なんだかとても面白いなあ。こんな香りが現地の人たちは好みなのか。
最近では日本でも入手できるようになったので、珍しいお茶と言うわけではないのだろう。わざわざ買って飲もうという気になるお茶でもないので、飲んだことのある人はそれほど多くはないかもしれない。
どうしても飲んでみたいという方は、こことか、ここで売ってるようなので、試してみてはいかが?